1963年11月22日、リンドン・ジョンソンはアメリカ合衆国第36代大統領に就任した。大統領専用機(エアフォースワン)内で宣誓して。
こんなとこでエラそうに私が説明するまでも無く、それは当時大統領だったケネディ暗殺に伴い、副大統領だったジョンソンが『自動的に』昇格したもので。自動的にという言い方は不適当か。憲法?の定めるところにより。
つまり、合衆国副大統領は、日本の首相が病気で倒れた時みたいに「次の政権担当者に誰が相応しいか」を他の誰かが協議して決めたのではなく、大統領に不測の事態が発生して政権に空白が生じる危機が発生した場合、必ず後を引き継ぐ義務がある立場だということで。そしてそもそもそのような事態に備えて副大統領というのは「次期大統領として相応しい人」が元々就いているのが前提とされている…実際に相応しいかどうかは知らないけど。

なーんてことを改めて書いたのも、やはり昨日のニュースを引きずっているからな訳で。「宝塚の2番手=準トップって何だろう?」と考え始めたらアレコレ頭の中に脈絡無くイロイロ浮かんできちゃって。

もちろん、アメリカ副大統領なんて引き合いに出すのは大げさすぎだと思うけど、でも話を宝塚世界に限ってみても2番手って相当重い立場だと思う。

・うたかたの恋稽古中にアキレス腱を痛めたシメさんに代わってマリコさんが大劇場の主演を務めた。「誰が主役のルドルフに相応しいか」なんていう考慮は当然なし(誤解を受けると困るけどマリコさんがルドルフに相応しくないとか言ってませんからね)。
あくまでも「トップ不在時に公演の主演を務めるのは2番手」というきまりに従った配役。

・ロンドン公演の座長を務めるヤンさんに代わって東京公演の「ブラックジャック/火の鳥」の主演をしたのはミキちゃん。

・ベルリン公演で座長を務めたのは月組2番手だったリカちゃん。「宝塚歌劇団という文化」を体現する人、「宝塚のトップは大きな羽根を背負って最後に大階段を降りてくるんだよ」という紹介を宝塚の代表として行ったのだ。

・2番手で全国ツアーの主演を務めたのはミズナツキさん。全国ツアーのチケットはたぶんほとんどが公演主催団体の買取だろうから、必死で売らなくてはいけない
立場としては「トップスターが来る!」という触れ込みができるかどうかは結構死活問題なんじゃないかと思う。だからこの時、劇団側は「2番手というのは次のトップなんですから、トップと同じですよ」と言ったと思う、絶対。

・2番手で博多座の主演を務めたのはきりやん。ミズナツキさんの場合はコムちゃんが退団を発表した後だったから、「もうトップと同じ」だったんだろうけど、キリヤンの場合は違う。きりやんが日生という手段もあったはずのに(日生はトウコちゃんも2番手時代に主演してるしジュリちゃんも主演してるから、大物でなくてはいけないという縛りはあっても「トップでなくてはいけない」縛りは既に無かったはず)、完全外部のハコといえる博多座で座長を張った。

そして公演には実は2種類ある…と私は思っている。

a)フレッシュ公演
言い方が良くないかもしれないけれど、若手のワークショップはもちろん、通常バウだってドラマシティだってトップ以外が主演する公演では、常にそれは「人気を計る」という要素を含んでいると思う。
若手だったらポジション上げの判断材料、中堅以降はトップスターに相応しいかどうかをこれら公演で劇団側に計られる。
「お勉強」だから失敗してもいいわけじゃなく、失敗したら落とされる可能性もあるシビアな公演でもあるけれど。

b)円熟公演
こっちも上手い言い方が見つからないけれど、ムラ・東京の本公演、全国ツアー、中日劇場・博多座(日生なんかも本来こっちのはず)・海外公演は、これらの主演をすることでポジションアップを判断されるとかいうものではなく「これぞ宝塚、この人こそ劇団が誇るスター」が「宝塚とはなんたるや」を見せる公演。

2番手というのは上でクドクド書いたとおり、私が勝手に分類した公演のb)を務めても大丈夫、トップスターと同格である、というお墨付きを貰った人たちなんだと思う…正確には「思っていた」。
そしてそれは「次期トップ」が約束されていることをも意味していたと「思っていた」のに。

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